サラリーマン時代、ECサイトの運営に携わっていた鈴木です。
物販系のECサイトにおいて欠かせない業務の1つに「ささげ」というものがあります。
一般の人はほとんど知らない業務ですが、売上を左右する重要な業務であるため、常駐担当者を設置するECサイトも数多くあります。
ECサイトの売上を左右する「ささげ」とは何か、ささげの重要性、ささげをどう考え行うべきか、説明していきます。
物販EC担当者なら、絶対に知っておいて損の無いことです。
ECサイトにおける「ささげ」とは?撮影・採寸・原稿
- さ:商品の撮影(さつえい)
- さ:商品の採寸(さいすん)
- げ:商品説明の原稿(げんこう)
上記の頭文字を合わせて作られた言葉です。
ECサイトは実際の店舗と異なりサイトに訪れたユーザーは実物を見ることが出来ないため、写真と表示されているサイズ、そして商品説明の原稿から、実際の商品を予測・予想してもらう必要があります。
写真もサイズも商品説明も何も無いECサイトから商品を購入する人なんて稀です。
有名な商品、例えばiPhoneなら見たことがある人も多いので、価格さえ安ければ購入してもらえるかもしれません。
日常に使う商品、食べる商品もそれほど「ささげ」は重要では無いですよね。。
ネットスーパーで1リットルの牛乳を購入する時に写真やサイズ(寸法)を気にして購入する人なんてあまりいませんよね。
しかしアパレル商品を購入する時に、写真やサイズはガッツリ見ていませんか?
またどんなシチュエーションに合うかも気にするでしょう。機能性も大切な衣料品、例えば登山用のウエアであれば、商品説明も更に重要になってきます。
アパレルに限らず家具にしても、あなたの部屋のイメージに合うか、あなたの部屋に収まるか気にしますよね。
つまり、とても重要なイメージに繋がる写真、着られるか設置出来るかに繋がるサイズ(採寸)、購入したことによって広がるイメージとなる原稿はECサイトにおいてとても重要なファクター・要素となります。
ささげはコストがかかる問題とアウトソーシングについて
「ささげ」という業務の重要性は理解してもらえたと思いますが、ささげは物凄くコストがかかります。
写真撮影にかかるスタジオの維持費、カメラマンを自社で用意するにせよプロカメラマンに依頼するにせよ人件費、カメラマンを自社で用意する場合は撮影機材費、更に撮影後の写真の加工・・・
考えただけでもコストはかなり発生してきます。
採寸にしてもアパレルであれば身幅・肩幅・着丈・袖丈、襟周り・腕周り etcと採寸するところはいろいろあります。
全部採寸するだけでも時間がかなりかかることは想像に容易いことです。
更に原稿を書くにしても売れる原稿でなければ意味が無いので、文章を書いたことも無い素人にお願いすることも出来ません。
教育に時間をかけるか、プロのライターを依頼するか、どちらせにせよコストはかかります。
もちろん、メーカーから商品を仕入れて売るのであれば、写真・サイズ・原稿はメーカーから用意してもらうことも可能ですが、メーカーと同じものだけ掲載していても売れないことはECサイト経験者ならご存知の通りです。
メーカー提供の素材だけでは、売るための方法は価格競争しか無くなります。
アフィリエイトサイトなら他社との比較記事でメーカー提供の素材だけでも売ることは可能ですが、ECサイトでライバル関係にあるメーカーの商品と比較する訳にも行きません。
だからこそ、オリジナリティを出すために「ささげ」は重要だけどコストがかかる物販ECサイト泣かせの部分にもなっています。
多くのECサイトでは「ささげ」はアウトソーシング=外注を行っています。
もちろん小さなECサイトではアウトソーシングをするだけの資金力が無いところもあって、自社で行っているところもありますが、かなり大変そうです。
最初は自社で行い、売上が出てきたらアウトソーシングを行うところもあります。
アウトソーシングは物流センターで一括で行う
ある程度の規模のECになると物流センターを用意するところもあります。
または物流専門の会社にアウトソーシングを行う場合もあります。
最近では、物流専門の会社が「ささげ」や「コールセンター」も含めてアウトソーシングを受けていることもあります。
ささげで使った商品においても、そのまま商品として販売することが物流センターなら簡単です。何より商品を物流センターに一括で送れば、ささげを行ってくれて、そのまま商品化を再び行ってくれるので、手間が省けます(モデル使用時は通常販売しないのが一般的です)。
また商品があるのでコールセンターへの商品に対する問い合わせも対応しやすいですし、いつ出荷したかもすぐにわかるので、商品出荷に関する問い合わせにも応じやすくなります。
もちろんある程度の規模が無いとコスト的に見合いませんが、規模が大きくなれば自社で行うよりもコストは削減出来ます。
部分的にアウトソーシングで行う
例えば原稿のみをアウトソーシングで行っているECサイトもあります。
途中に代理店を通す場合もあれば、ライターと直接契約して書いてもらっている場合もあります。
本当に小さいECサイトだと、クラウドソーシング(ランサーズやクラウドワークス等)に依頼をしているところもあるようです。
ただ出来れば実物を見てもらえるライターと契約した方が良いでしょう。
自社で「ささげ」を行う場合のポイント
コスト的な問題で「ささげ」を自社で行う場合、ポイントを押さえて的確に行うことが大切です。
ささげのそれぞれのポイントを説明します。
さ:商品の撮影のポイント
ECサイトには写真を多く掲載すれば良いという訳ではありません。
大切なポイントは
- 商品がわかる(左右上下 等)
- 商品のポイントがわかる(機能性のものなら機能がわかるように)
- 使用した時のイメージがわかる・伝わる
商品がわかる写真は、背景を無理やりぼかしたりした写真ではなく、メリハリのあるF値の高い写真の方が良い場合もあります。
逆に使用している時のイメージは背景を少しぼかした写真の方がイメージが湧くこともあるので、目的によって写真の撮り方の使い分けが必要です。
また機能性のもの、例えば防水であれば実際に水につけた写真を用意出来ればより効果的です。
防寒であれば雪の中の写真も有効です。
さ:商品の採寸のポイント
採寸のポイントはZOZO TOWNが非常に参考になります。
※ZOZOTOWN独自の方法により採寸しております。
※()内の表示はZOZOTOWN独自の基準で振り分けたサイズです。ブランド表記サイズとは異なりますのでご注意ください。
ZOZOTOWNより
複数のブランドを取り扱っており、ブランドによって採寸方法が異なったりするため、ブランド(メーカー)提供のサイズではなく、ZOZOTOWNが決めた採寸ルールにそったサイズを記載することで、ブランドが異なっても問題無いということをお客さんに伝えるようにしています。
また写真にも通じますし、写真の方に掲載しても良いのですが、モデルの身長も合わせて掲載しておくとイメージが湧きやすくなります。
ZOZOTOWNはモデルの身長も掲載しています。
商品によって求められるサイズは異なるので、競合店を調べてどんなサイズ・採寸をしているか確認してください。
商品によってはサイズだけでなく、重量も必要です。
- 採寸の統一ルールを作る
- モデルがいる場合はモデルの身長も掲載
- 求められるサイズを記載する
- 商品によっては必ず重量も記載する
げ:商品説明の原稿のポイント
ECサイトにおける商品説明は、客観と主観をきちんと分けて記載することが大切です。
素材やデザインに関しては客観的な事実が必要ですが、商品をイメージしてもらうためには主観的なことも必要になります。
アパレルであれば着た感じは写真の方が伝わりますが、着た時に感じるもの、軽いとか動きやすいとか着心地に関しては主観の方が大切です。
なおアパレルであれば理屈が多すぎると読んでもらえませんが、デジタル家電に関しては、細かいスペックや素材感が重要になってきます。
扱う商品によって原稿はかなり異なるのでライバルとなるECサイトを見て、最初は学び、その後にオリジナリティを出せるように原稿を書きましょう。
- 主観と客観を分けて伝える
- 扱う商品によって求められる情報が異なることを調べる
- 主観については表現力が大切、ライティングスキルを学ぶ
ライティングスキルが無い・・・という場合は文賢というツールを使うのがおすすめです。
これからの「ささげ」はAIとARとVR
最近のIT技術の革新は凄まじく、AIを使った「ささげ」も出てきています。
例えば写真を撮影して、写真を解析することで自動で採寸を行ったり、アパレルであれば衣類だけの写真でもモデルと合成してしまったり、いろいろな場所で撮影したかのように見せることも可能になってきています。
AIというよりは解析技術の進歩ですが、原稿もAIによって書いてもらうことが徐々に始まってきています。
またAR技術も注目されています。
ARとは「Augmented Reality」の略で日本語にすると拡張現実というものです。
この記事を読んでいる人の中には「ポケモンGO」をされたことがある、今もしている人もいるでしょう。
ポケモンGOで自分の目の前の景色にポケモンが出てくるのもAR技術を使ったものです。
既にこのAR技術はECサイトの世界で始まっています。
例えば家具
家具を購入する時に自分の部屋にマッチするか悩むことも多いと思いますがAR技術を使えばあなたの部屋に家具を置いた世界を体験出来ます。
実際にIKEAはアプリで既に実現しています。
またVRとARを織り交ぜたサービスの展開も考えられています。
VRは「Virtual Reality」の略で日本語にすれば「仮想現実」です。
VRとARをミックスさせると自宅に居ながら、自分の着たい服を試着しているかのように見ることも可能となります。
既に一部始めているECサイトも登場しています。
車の試乗体験も出来るようになってきています。
このまま技術が進めば、10年後には「ささげ」はすべて自動で完成するようになるかもしれませんね。
以上、ささげ業務についてでした。
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