サラリーマン時代、3回の出向を経験した鈴木です。
僕のいた会社の場合、出向が出世の登竜門的なこともあって、マイナスの意味は無かったのですが、会社によっては「出向=出世コースから外れた」ということもありますよね。
銀行なんかがその傾向が強いようですが。
出向した時にクレジットカードを作ったこともあるのですが、その時に悩んだのが勤務先の情報に「出向先」の会社名か、「出向元」の会社名か、どちらを書けば良いのかとうこと。
出向を3回した立場から、出向元と出向先の違いを詳しく説明した上で、クレジットカードの申込書等にどう書けば良いのか、出向のメリット・デメリットを説明します。
出向元とは?出向先とは
出向元と出向先の違いは?先に入社した会社だから出向先?元いた会社だから出向元?
出向元は、元々就職した会社です。出向先は元々いた会社から関連会社・子会社に移動になった先の会社です。Aという会社に就職した後に、子会社Bに出向したら、Aが出向元、Bが出向先となります。ただし例外もあります。
会社Aという会社に就職した後に、会社Bという会社に出向するように辞令がおりて、会社Bで働くことになった場合、
- 会社A=出向元
- 会社B=出向先
というようになります。
この場合、給料を支払っているのが会社Aであり、健康保険証を発行しているのも会社Aになっているはずです。
ただし、給料を支払っているのが会社Bであり、健康保険証を発行しているのも会社Bになっていたら、それは出向ではなく、転籍となります。
転籍、つまり会社を変わったことになり、転職と同じです。
なので出向という言葉が無意味になり、勤め先は会社Bとなります。
関係図は下記の通りです。
クレジットカードの勤務先は出向元を書く
クレジットカードの勤務先は出向元を書くのが基本です。
上記の図はあるクレジットカードの申込書類です。
「お勤め先 または屋号(派遣元名・正式名称)」と最初(左上)に書かれているので、ここには「出向元」を記入します。
所属部課(出向先名・派遣先名)と右側に書かれているので、ここに「出向先」を記入します。
別の申込書でも「お勤め先(自営の方は屋号・派遣社員の方は派遣元)と書かれていて、「部署名(出向先名 派遣先名)」となっています。
もし注意書きが無い場合でも、
- 勤め先=出向元を書く
- 部署名=出向先を書く
と書くようにしてください。
ただし給料を支払っているのが出向元であり、保険証も出向元名なら、既に書いてある通り、それは実際には転籍扱いになるので、出向元名が勤め先になります。
なお、屋号という言葉が出てきましたが、法人化していない(会社を登記していない)けど、お店の名前や名乗っている社名がある場合に記入するものです。
屋号が無い場合は「自営業」と書きましょう。
本籍会社・原籍会社という言葉もある
出向元の別の言い方として、本籍会社・原籍会社と言う場合もあります。
ただ言葉が違うだけで意味は同じです。
クレジットカードの申込書で「本籍会社・原籍会社」という言葉が使われていることは見たことはありませんが、転職する時に書く書類では見かけることがあります。
もし転職活動中で書類を書く時に
「本籍会社・原籍会社」とあって「所属部署」もあった場合は、所属部署に出向している会社の名前を書くことが一般的です。
ただ中には出向ということを隠したいために、書かない人もいますが、在籍確認の電話をする企業やエージェントもいるので、その時に「そんなものはいません」と答えられてしまうのであれば、きちんと出向先を書きましょう。
在籍出向と転籍出向という言葉
滅多に見ることはありませんが、在籍出向という言葉と転籍出向という言葉もあります。
在籍出向は今まで説明してきた通りの出向の意味と同じですが、転籍出向というのは滅多に使われない言葉であり、会社がごまかすために使うことがある言葉です。
実際には会社を辞めさせていて、別の会社に就職させているのと同じです。
もちろん事前に転籍(転職扱い)となることの説明を受けて、転籍(転職扱い)になることに同意したのであれば法律的には問題はありません(パワハラ等のハラスメントが無ければ)。
出向のメリット・デメリット
出向にはメリットもあればデメリットもあります。
これは会社によってかなり違いますが、僕が実際に経験したことを交えて説明します。
出向によって給料が下がる場合もある
出向の最大のデメリットは給料が下がることがケースが多いことです。
え?給料は出向元からで同じじゃないの?と思うかもしれませんが異なります。
本社勤務(首都圏)の場合は、手当が2万円つくけど地方勤務の場合は手当は無しという会社は結構あります。
物価(主に家賃)が異なるため、地方だと手当がなくなるという会社も多いのです。
出向になる地域に関する手当がなくなることもあります。
また出向によって職位(課長とか主任とか)がランクが下げられて給料が下げられてしまうケースもあります。これは左遷でなる場合が多いので、左遷以外は気にすることはありません。
労働条件は出向先のルールになるのが一般的
メリットにもデメリットにもなるのですが、給与以外の労働条件は出向先のルールになるのが一般的です。
例えば元々いた会社(出向元)では年間休日が120日だったけど、出向先では年間休日が110日だった場合、出向した社員は年間休日が出向先と同じ110日になるのが普通です。
休日日数が異なる人が混在すると業務に影響を与えることも考えられるため、休日日数が労働時間は出向先と同じになることが一般的です。
中には年間休日日数が増える場合もあります(子会社から親会社に出向等)。
僕の場合は年間休日日数が10日も減ってしまったこともあります。
ただ別の会社に出向した時はフレックスタイム制になって業務に影響しない範囲で自由な時間に出勤出来るようになったというメリットもありました。
出向での福利厚生はやや複雑
出向した場合の福利厚生はやや複雑です。
メリット・デメリットもそれぞれあります。
例えば元々いた会社(出向元)では社食があり非常に安い価格で昼食を食べられましたが、出向先には社食が無く、コンビニ等で自分で購入することになりました。
社食も福利厚生の一貫ですが、社食が無くなったことはデメリットでした。
逆に出向元は食品と関係ない会社だったけど、出向先が食品関係で、社食があったということもあります。
また会社によっては社員証を見せればテーマパーク等で割引になるという福利厚生がある会社もあります。
会社によって社員証は出向元のままという場合もあって、割引サービスにおける福利厚生はそのまま同じということもあれば、社員証は出向先になり割引サービスにおける福利厚生は出向先と同じになるということもあります。
世間の目は出向=左遷というデメリット
銀行系のドラマのためか、出向=左遷というイメージが世の中には出来ています。
そのため、出向していると言うと
あ~左遷されたんだな・・・
と思われてしまうことがありますし、実際に僕も経験しました。
実際には自分で希望して自分のキャリアアップのためだったので、会社で働いている人から左遷という目で見られることはありませんでしたが、会社以外の人からは左遷されたと思われてしまっていました。
人間、人の不幸は好きな人がいて、出向=左遷と思い込んで変な噂を流す人もいるので、出向したとしても会社関係以外の人には言わない方が良いかもしれません。
今、自分が転籍させられていた事を知った方へ
今、この記事を読んで自分が知らない内に転籍(転籍出向)させられてしまっていたということを知った方(ひょっとしたら今、これを読んでいるあなた)は、諦めるかもしくは弁護士や労働基準監督署に相談してください。
ただ会社はばれないように「ここにサインして」と出した書類に転籍であったことを書いているかもしれません。
その場合、裁判になっても負けるかもしれませんが、同様に知らないでサインしてしまった人が他に何人か居たら、勝てるかもしれません。
ただ、裁判で時間をかけるより、あなたの価値を見出してくれる会社に転職をした方が良いでしょう。
もちろん、我慢して転籍した会社に居続けるという方法もありますが、転籍させられた場合、恐らく給料も下がっているか条件が下がっているはずです。
元の会社くらいの給料に戻りたい、条件に戻りたい・・・ということであれば転職を考えた方が良いのではないでしょうか?
出向中だとクレジットカードは作りにくい?
出向中だと左遷と思われてクレジットカードが作りにくいと思う人もいるようなのですが、実際にはそんなことはありません。
基本的には元々就職した会社からの勤務期間を書くので、勤務期間も長くクレジットカードは作りやすいと言えます。
実際僕も出向中にクレジットカードを申し込んだけど、審査落ちしたことは1度もありません。
気にせずクレジットカードは申し込んでもらって大丈夫です。
もちろん出向とは関係ないことが原因で審査に落ちることはあります、例えばクレジットカードの滞納を何度も繰り返していたとか、借金が数百万以上あるとか(住宅ローン除く)。
なお出向期間中に作ったクレジットカードはいろいろありますが、JCBのゴールドカードは今でも使っています。
JCBって審査が少し厳しいと言われますけど、出向していても普通に正社員なら全く問題なく作れますよ。
以上、「出向先」と「出向元」の違いでした。
もっとクレジットカードのことを知りたければ別にクレジットカードやお金、お買物に関するブログを書いているので是非見てください。
コメント