ストアブランドはどこが作っているのか気になる鈴木です。
イオンのプライベートブランドであるトップバリュ、7&iのプライベートブランドであるセブンプレミアム、小売業の多くはプライベートブランドと銘打っていろいろな商品を出していますが、実際にはプライベートブランドではなくストアブランドに過ぎない商品も数多くあります。
え?プライベートブランドとストアブランドって同じ意味じゃないの?と思うかもしれませんが、実は異なるというのが大手小売業の基本的な考え方です。
プライベートブランド(PB)とストアブランド(SB)と対極にあるのがナショナルブランド(NB)ですが、実際にPBとSB、NBの違いを理解していない人も多いので、それぞれの違いを詳しく説明していきます。
NB=ナショナルブランド
ナショナルブランド(National Brand)を略してNBと言います。
例えばコンビニ行けば置いてある、コカ・コーラやポカリスエット、アクエリアスという商品は日本全国どこでも販売している商品ですよね。
商品名・企業名が既に認知されどこでも購入することが出来る商品をナショナルブランドと言います。
言い換えれば、大手有名メーカーが作った商品で概ね全国どの量販店でも購入出来る商品が、ナショナルブランド=NBとなります。
iPhoneもナショナルブランドですし、Appleも広義ではナショナルブランドです。
NBの反対はLB。LB=ローカルブランド
NBの反対はSBやPBという考え方もありますが、見方を変えるとLBが反対になります。
LBは、ローカルブランド(Local Brand)の略です。
- 北海道で言えば、ベル食品や藤原製麺
- 秋田県なら、東北醤油(味どうらくの里)
- 愛知県なら、寿がきや食品
というようにその地方に昔から住む人なら誰もが知っているけど、全国的には知られていない商品をローカルブランドという場合があります。
ただし、ローカルブランドでも全国的に有名になってナショナルブランドになった商品は数多くあります。
元々日本だけでなく世界的に有名になったメーカーでも最初はただの中小企業だったのは珍しくありません。
2018年から2019年にかけて放送されたNHKの連続テレビ小説「まんぷく」は日清食品がモデルとなっています。
実際、日清食品の元なる「中交総社」が誕生した時は大阪の中小企業に過ぎませんでしたが、今では世界的に有名なカップヌードルというナショナルブランドを生み出しています。
爆発的に地方で売れれば、ローカルブランドだったものがナショナルブランドになるのは珍しくありません。
ただし、有名になればナショナルブランドということで、はLBはNBの反対語というと正確性には欠けてしまいます。
プライベートブランド(PB)とストアブランド(SB)の違い
同じように思われているプライベートブランドとストアブランド、違いは無いと思っている方もいますが、実は生まれる過程が異なります。
ただし、プライベートブランドとよく言うイオンや7&iが、イメージ戦略としてプライベートブランドという言葉を使ってしまっているため、ストアブランドとプライベートブランドの違いがわかりにくくなってしまっている部分があります。
イオンにしても7&iにしても幹部が先生と仰ぐ人で渥美俊一さんという方がいます。
経営コンサルタントであり、日本のチェーンストアの祖として、ダイエーの中内功、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊、ジャスコ(現イオン)の岡田卓也、マイカルの西端行雄・岡本常男、ヨークベニマルの大高善兵衛、ユニーの西川俊男、イズミヤの和田満治らが先生と仰いだ人物です。
だから日本の社会を牽引してきたスーパーマーケットの経営者達は基本的に渥美俊一さんの考え方で成り立っています。
この渥美俊一さんの本で商品構成という本があります。
この本ではプライベートブランドとストアブランドは異なるものとして定義されています。
プライベートブランドはニーズのあるものを商品開発から行う
商品構成の中ではプライベートブランドは下記のように説明されています。
仕入れられない品、まだ生産されていない品であるにもかかわらず、客の買う立場、使う立場、食べる立場に立って、必要だとして商品開発された品がプライベート・ブランド
つまり、元々は無い商品だったけど、小売店側がお客さんの立場にたって必要(ニーズがある)だと思うものを開発する商品のことです。
イオンだとトップバリュがプライベートブランドとされていますが、実際にはこの定義で言えばプライベートブランドは半分もありません。
例えばイオンで人気がずっと続いている商品としては下記の商品があります。
トップバリュより
外箱の無いティッシュってありそうでほとんど販売されていませんでした。
でもニーズはあるということでイオンが商品開発をしてメーカーに依頼して製造してもらっているので、これは完全にプライベートブランドです。
ストアブランドは開発を伴わない改善された商品
商品構成の中にストアブランドはこのように説明されています。
ナショナルブランド化されたうち、それを客の買う立場、使う立場、食べる立場にあって、品質及び価格を改善したものがストア・ブランド
つまり既にある商品を価格的に改善したり品質を改善したものということになります。
例えばセブンプレミアムの牛乳やトップバリュの牛乳、ファミマやローソンの牛乳は昔からあった紙パックの牛乳と違いはなく、NBよりも価格を改善(安くした)した商品であり、プライベートブランドとは言えず、ストアブランドに過ぎません。
プライベートブランドとストアブランドの違い
プライベートブランドとストアブランドの違いはわかってもらえたと思います。
ここでプライベートブランドとストアブランドの違いをまとめると
- プライベートブランド=ニーズ商品(必要だから作る商品)
- ストアブランド=ウォンツ商品(欲しいから買う商品)
と分類出来ます。
こう考えるとNBの反対はPBではなく、SBになりますよね。
SBはあくまでもNBが元にあって作られ、対極となる商品です。PBはNBに無いから作られる商品です。
プライベートブランドとストアブランドの違いについてわかったと思いますが、先述している通り、本来はきちんと説明すべきスーパーマーケットが認知のためにごちゃごちゃにしてしまったために、プライベートブランドとストアブランドがよくわからなくなった結果になったと考えます。
PBやSBのメリット、NBよりも安いことが一番
イオン等のプライベートブランドやストアブランドは、どこの会社が作ったものか明記されていないことがあります。
販売者、販売責任者としてイオンとなっているだけのことがあり、どこの会社が作ったものか気になる人は気軽に買えない状況になっています。
ただしナショナルブランドと比較して、プライベートブランドとストアブランドは安い傾向にあるので、安さを重視する人にはありがたい商品になっていることも確かです。
でも、なぜプライベートブランドやストアブランドは、ナショナルブランドよりも安くなるのでしょうか?
在庫負担をメーカーがしなくても良いから
一番の理由は、在庫負担・在庫リスクをメーカーがしなくても良いからです。
メーカーにしてみれば作ったけど、全く売れなかったとすると在庫を保管したり廃棄するリスクが発生します。
保管や廃棄って実はかなりコストがかかるんです。
何より売れない商品が売れる商品の置き場を圧迫してしまうと売れる商品の在庫まで下手をすれば置けなくなります。
しかしプライベートブランドやストアブランドは、製造依頼をしたスーパーマーケットやコンビニが在庫リスクを負うので、メーカーにしてみれば、在庫リスクを負わない分、原価を安く出来ます。
問い合わせコストも減らせる
増え続けていると言われるクレーマー、メーカーも対応に負われることがあります。
しかしメーカー名を伏せて販売責任者としてスーパーマーケットやコンビニだけの名前にしてもらえば、問い合わせ窓口は一次的には、スーパーマーケットやコンビニになります。
メーカーはスーパーマーケットやコンビニからの問い合わせだけを対応すれば良いので、問い合わせコストが削減出来ます。
問い合わせコストも今ではかなりメーカー負担になっているので、問い合わせコストを減らせることで原価も下げられる訳です。
改善提案がまとめられて来る
先に説明した通り、クレームの一次対応をしなくても良いということがありますが、同時にスーパーマーケットやコンビニから、改善して欲しいことが、まとめてフィードバックされるので、メーカーとしても今後の改善に役立てやすくなります。
クレームというのは大変ですが、中には役立つクレームもメーカーにはある訳です。
またメーカーは実店舗を持っていないことが多いので、実際のお客さんがどういう目線で商品を選んで購入しているかわからないことが多くあります。
でも、スーパーマーケットやコンビニの店員は日々お客さんと接しているので、商品に足りないもの、改善して欲しいものを割と知っていることがあります。
そういった改善案が小売の立場からメーカーにフィードバックされる、改善提案がまとめてされるのでメーカーとしても助かっている部分が出てきます。
つまりスーパーマーケットやコンビニは、この改善提案やフィードバックを元に原価交渉を進められる部分もあるので、原価が下げやすくなります。
メーカーもフィードバックがあったことを自社製品に応用すれば更に売れる商品に出来るのでメリットは高くなります。
物流コストも下げられる
スーパーマーケットの個人商店が多かった時代、物流コストもメーカーには大きな問題でした。
イオンは過去にビールの不当廉売で公正取引委員会に指摘されたことがありますが、イオンの言い分としては
メーカーは小売店舗までの配送を担っていた部分をイオンの配送センターに一括で納品してもらい、その後の店舗への個別配送はイオンが行うから配送コスト分を安くしてもらっているから原価を下げてもらっている。つまり会社として原価を下げてもらうのは当然であり、その分を消費者に還元することのどこが悪いのか?(意訳)
としています。
今やこの方式はイオンだけでなくコンビニ各社も取り入れています。
その中にはプライベートブランドやストアブランドも多く含まれているので、配送コストの分を安くすることが出来ます。
PB・SBを購入してお得に生活しよう
プライベートブランドやストアブランドは、品質が悪いから安いと思っている人も多いのですが、実際には上記で説明したように小売店が安くするための工夫を行っているという理由が大きく、決して品質的に悪い訳ではありません。
もちろん中には品質を下げて安くしている商品もあります。
イオンで言えば、トップバリュの中でも「トップバリュ by BESTPRICE」はどちらかと言えば品質よりもコスト重視で作られた商品なので、品質は特別良い訳ではありません。
でも、「トップバリュ」や「トップバリュ セレクト」は品質は下げずに安くする工夫が取り込まれています。
参考:4つのトップバリュ
上手く商品を購入することで生活はよりお得になり損することも少なくなります。
それでも気になる場合は、イオン トップバリュの製造所固有記号検索システムを使って作っているメーカーを確認することが出来ます。
僕のスマホには上記リンク先のショートカットが登録してあり、購入時に悩んだら見るようにしています。
消費税も上がっていく中で、少しでも節約しようと考えているのならトップバリュ等のプライベートブランド・ストアブランドを上手く使ってくださいね。
以上、NB・PB・SBの違いについてでした。
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