温泉ソムリエの鈴木です。
渋温泉 金具屋に宿泊しました。渋温泉の宿に泊まると宿泊者は渋温泉街にある9つの外湯に無料で入ることが出来ます。
以前、渋温泉外湯九湯巡りは行っていたのですが、やはり入れると思うとワクワクしてしまい、九湯巡りを再び行いました(笑)。
せっかく周るのだから写真を添えて外湯九湯はどんなところか紹介していきます。泉質やph(ペーハー)、源泉の一覧も作成しました。やっぱり外湯巡りは浴衣を来て、下駄を鳴らして風流に周りたいものですね。
渋温泉 外湯九湯とは?入れる条件は?価格は?
渋温泉 外湯九湯巡りとは、長野県にある渋温泉街にある9つの共同浴場を巡ることです。9つの共同浴場をすべて周り最後に渋高薬師に参拝すると満願成就するという言い伝えもあります。 観光客は渋温泉街の宿に宿泊することで9つの共同浴場に無料で入ることが出来ます。 九湯入った証として「祈願手ぬぐい」を持ってそれぞれの共同浴場にある朱印を押してくる人も大勢います。
9つの共同浴場は渋温泉の旅館・ホテルの宿泊者のみが無料で入れますが、9番湯の大湯のみ宿泊者でなくても500円で日帰り入浴が可能です。入浴料は500円で時間は10:00~16:00となっています。
今は九番湯以外は宿泊客しか入れませんが、以前はお土産屋さんで「祈願手ぬぐい」を購入すると鍵を貸してもらえました。僕はそれで2010年に外湯めぐりをしたので(つまり今回2回目)。
今は宿泊するとその宿で外湯巡りに必要な鍵を貸してもらえます。
外湯はすべて鍵がかかっている状態なので、この鍵で開けて入ることになります。特に貸切とかいう訳では無いので、先客がいても一声かけて入って構いません。ただ既にいっぱいな状態の時は待った方が良いでしょうね。
なお混浴ではなく男女別浴です。
たまに鍵がかかるのを良いことにカップルで入っている不届きものがいるそうですが、鍵があれば開くので、カップルで入ることの無いようにしてください。
渋温泉 九湯の祈願手ぬぐい
「祈願手ぬぐい」はお土産屋さんや各旅館でも販売しています。もちろん旅館でも販売していますし、宿泊先によっては無料でいただけることもあります。
こんな赤い紙に包まれています。
外湯の前にスタンプ台とスタンプがあるので入ったところの外湯にスタンプを押していきます。全部入って最後に神社のスタンプを押せば完成です。
それぞれ源泉や効能が異なる外湯を、祈願手ぬぐいにスタンプを押しながらめぐります。最後に温泉街を見下ろす「渋高薬師」へ参詣して印受すれば満願成就。九(苦)労を流し、厄除け、安産育児、不老長寿のご利益があるといわれています。
今回は時間が無くて、「渋高薬師」までは行けませんでしたが、今度行く機会があればスタンプを押してきたいと思います。
9つの共同浴場の場所は下記の地図を参考にしてください。
渋温泉 共同浴場 詳細
- 住所:〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町平穏
- 電話番号:0269-33-2921(渋温泉旅館組合)
- スマホなら上記電話番号タップで電話出来ます
- 外湯入浴可能時間:6:00~22:00(*1)
- 定休日:なし(清掃で入れない時間帯あり)
- 入場料:渋温泉旅館組合加盟の宿に宿泊の場合無料
- 駐車場:各旅館により異なる 大湯入浴時は山ノ内町渋温泉駐車場へ
- 公式サイト:信州 渋温泉
渋温泉 外湯九湯の源泉名と泉質
渋温泉の外湯は一番湯から九番湯まであります。
それぞれに番号の名前だけではなく名前もついています。またそれぞれに効能が異なるとされています。
九湯の名称と効能と源泉は下記の通りです。
名称 | 効能 | 源泉名 |
---|---|---|
一番湯 初湯 |
胃腸 | 渋温泉総合源泉 (比良の湯、薬師の湯、とんびの湯の混合泉) |
二番湯 笹の湯 |
湿疹 | 渋温泉総合源泉 (比良の湯、薬師の湯、とんびの湯の混合泉) |
三番湯 綿の湯 |
切り傷、おでき 子宝 |
渋温泉総合源泉 (比良の湯、薬師の湯、とんびの湯の混合泉) |
四番湯 竹の湯 |
痛風 | 横湯第一ボーリング、横湯第二ボーリング、熱の湯 |
五番湯 松の湯 |
脊椎病 | 横湯第一ボーリング、横湯第二ボーリング、熱の湯 |
六番湯 目洗いの湯 |
眼病 | 目洗の湯、ガニ沢の湯 |
七番湯 七操の湯 |
傷性緒障害 | 七操の湯 |
八番湯 神明滝の湯 |
婦人病 | 神明滝の湯 |
九番湯 渋大湯 |
子宝、リュウマチ 神経痛 |
渋大湯(大湯と渋温泉総合源泉の混合泉) |
一番湯から三番湯までは同じ源泉で、四番湯と五番湯も同じ源泉になっています。次にphと泉質と成分総計です。
名称 | ph | 泉質 | 成分総計 (mg/Kg) |
---|---|---|---|
一番湯 初湯 |
4.0 | ナトリウム・カルシウム -硫酸塩・塩化物温泉 |
1204 |
二番湯 笹の湯 |
4.0 | ナトリウム・カルシウム -硫酸塩・塩化物温泉 |
1204 |
三番湯 |
4.0 | ナトリウム・カルシウム -硫酸塩・塩化物温泉 |
1204 |
四番湯 竹の湯 |
7.6 | ナトリウム・カルシウム -塩化物・硫酸塩温泉 |
1272 |
五番湯 松の湯 |
7.6 | ナトリウム・カルシウム -塩化物・硫酸塩温泉 |
1272 |
六番湯 目洗いの湯 |
7.6 | ナトリウム・カルシウム -硫酸塩・塩化物温泉 |
1133 |
七番湯 七操の湯 |
7.5 | ナトリウム・カルシウム -硫酸塩・塩化物温泉 |
1342 |
八番湯 神明滝の湯 |
4.8 | ナトリウム・カルシウム -硫酸塩・塩化物温泉 |
1186 |
九番湯 |
5.7 | ナトリウム・カルシウム -硫酸塩・塩化物温泉 |
1271 |
九湯とも泉質名は同じですが、phは4.0~7.6までと差があり、成分総計も異なっています。だから実際に入り比べをしてみると湯質の違いに気がつくはずです。
渋温泉 外湯九湯と番外湯
渋温泉 外湯九湯と入れないけど番外湯というものがあるので、9箇所の温泉と番外湯を写真付きで紹介していきます。
なお九湯廻りに必要なのは旅館・ホテルで借りた鍵とタオルです。祈願手ぬぐいは絶対に押印しないといけない訳では無いので、面倒ならしなくても良いのですが、せっかくだから押印しましょう!
タオルは持っていかないと外湯には置いてありません。また濡れたタオルで身体を拭きたく無い!という方は九湯も入るとかなり濡れるので、バスタオルは2枚は持っていくことをおすすめします。
冬は寒いと思うかもしれませんし、実際に寒いのですが2、3湯入ると今度は暑くなってきて、厚着していくと大変ですので、コントロール出来るようにした方が良いですよ。
一番湯 初湯
渋温泉の一番人気の宿、金具屋からも近い場所にある一番湯の初湯。
名僧行基が最初に発見した温泉で、托鉢の鉢を洗ったことから鉢湯と云われていたものを、いつの頃からか初湯となり今に伝わっています。胃腸に良く効く事から、誰言うと無く「胃腸の湯」とも呼ばれています。
なるほど~って全国に名僧や平家が見つけた温泉って本当に多いですね。でも、こういう言い伝え、嫌いじゃありません。
湯船はあまり広くなる3人くらいでいっぱいになる広さです。
見辛いですが温泉分析表は上記の通りです。
ph4.0で酸性のお湯となっています。
二番湯 笹の湯
泉質は一番湯と同じです。
一番湯から徒歩1分もかからず到着します。
昔、笹藪の中から温泉が湧き出していた事から、笹湯と呼ばれてきました。笹の成分が温泉に溶け出して湿疹などに良く効くと云われています。また病気の快復時に効果が有ると云われ「仕上げの湯」とも呼ばれています。
笹は確かに抗菌効果があるって言われていますから昔はそうだったのかな~と思ったり、思わなかったり。
縦長の湯船で4人くらいは頑張れば入れるかな?という大きさです。
定番の温泉分析表です。
一番湯と同じ源泉なので同じくph4.0で酸性のお湯となっています。
三番湯 綿の湯
二番湯から徒歩1分もかからない場所にある三番湯。一番湯からこの三番湯までは同じ源泉です。
建物自体が良い味を出していると思います。
この浴場が出来た頃の温泉には白い湯花が混じっており、それが綿に似ているところからこの名前が付けられております。婦人風呂は特に「子持ちの湯」とも名付けられておりますが、この温泉で湯治する事により、子宝に恵まれる人が多いからでしょう。切り傷は皮膚病等にも効果が有ります。
「子宝の湯」はよく聞きますが「子持ちの湯」って初めて聞きました。
外観が大きく見える割に湯船は小さく2~3人向けのものとなっています。
温泉分析表の内容も一番湯と同じ源泉なので同じくph4.0で酸性のお湯となっています。
四番湯 竹の湯
順番通りに周ろうとすると三番湯から四番湯までは5分ほど歩くことになります。
でも温泉街をゆっくり見て周ると思えばそれもまた楽しいのではないでしょうか?
四番湯の前は道幅が狭いため全体を撮影するのが難しいのでもう1枚横からのものを。
こちらの建物も雰囲気が良いな~と思いました。
その昔、長い間の念願であった地獄谷からの引湯に成功した時、その快挙を祝福して当時の人々が松の湯と共に名付けました。慢性通風にはゆっくり患部を温めると効果があります。しかしながら、外湯に梅の湯が無いのはどうしてでしょう。
そんなん知らんがな(笑) いやいや、失礼しました。そういえば梅の湯という外湯は聞いたことがありませんね。温泉はやっぱり冬場に入る人が多いから梅や桜の季節のイメージが無いのかな?と思ったり。
湯船はあまり大きくなく3人くらいでいっぱいになる大きさ。でも木で作られた湯船が何とも良い雰囲気を出してくれています。
一番湯から三番湯は酸性、四番湯は温泉で言えば中性ですが化学的に見れば弱アルカリ性のph7.6となっており、肌が弱い人にも良いお湯だと思います。
五番湯 松の湯
四番湯から徒歩1分くらいの距離にあるのが五番湯です。
大きく見えますが実際にはそれほど大きい建物ではありません。
竹の湯と相前後して完成したのがこの松の湯です。「あなたを待つ湯」などと昔の人は洒落て云っていたらしく、ここが集会所の役目を果たしていたようです。神経痛や病気の快復時に良い様で、湯の中で身体を動かすと痛みが軽くなります。
あ~!今にして思えば、この前で珍しく女性が男性をずっと待っていましたよ。まあただの偶然でしょうけどね。
こちらも3人くらいが入れる大きさの湯船です。
泉質は四番湯と同じで、ph7.6です。
六番湯 目洗いの湯
見た目は小さいですが奥に長い作りになっています。
ここは入った時に何人か入っていて入りにくかったので少し待ちました。
その昔、目を洗って眼病を癒した、と云われている事から命名されています。温泉が、滝の様に湯船に落ちていた頃は、滝の湯とも呼ばれていました。また、肌がきれいになる事から「美人の湯」とも呼ばれています。
なるほど。
ここに入った時、外国人が数人で入っていて水をじゃんじゃん入れていたので嫌な予感がしたのですが・・・その感があたりました。
すっごくお湯が温い!36~37くらいしか無かったんじゃないかな?冬場はやはり40度くらいは欲しいところ。う~ん・・・外国人の一部は温湯が好きなことは知っているけど、それをされてしまうと日本人には厳しいから、あまりヌルくしないように宿で言っておいて欲しいな~とは思いました。しょうがないけど。
ここは縦に長い湯船で4人くらいは入れる大きさになっています。
六番湯以降の数字の温泉はそれぞれ独自の源泉なので泉質が違っていますが、四番湯・五番湯との差があまりわかりませんでした。
ただph7.6で成分総計は一番軽いので、最も身体に負担が少ない泉質と言えます。
肌が弱いから心配という方はこの温泉だけにしておいた方が良いかもしれません。
七番湯 七操の湯
渋温泉 外湯の中では一番成分総計が多いのが七番湯です。
ライトの関係で色が少し変になっています。
非常に古い時代に開設されたこの浴場は、最初は温泉が七本の滝となって湯船に流れ落ちていたと云う事です。また、七つの病気に効く。とか、七回入れば病が全快する。などと云われており、「七操の湯」と呼ばれているようです。
七回入って全快するなら是非入りたい・・まだ2回しか入っていないから後5回だな・・・(違)
こちらもあまり多きな湯船ではなく3人くらいでいっぱいになる大きさです。
ここも独自の源泉になっています。
そして成分総計ではもっとも密度が高い温泉です。pHは7.5となっています。
八番湯 神明滝の湯
この辺りになると結構疲れてきています。湯疲れ。
こじんまりとした作りです。
源泉は、裏山の神明山から湧き出し、昔は滝の様な打たせ湯で疲れを癒やした所から命名されています。婦人病に良く効き、子宝にも恵まれるお湯だと云うことから、「子宝の湯」とも呼ばれ親しまれています。
疲れを癒やす温泉で疲れていますです、はい。
小さい湯船で2人くらいがちょうど良い大きさです。
ここも独自の源泉となっています。pHは4.8なので酸性泉です。
九番湯 渋大湯
宿泊者以外も入れるのが最後の九番湯「渋大湯」です。入浴は500円とのことです。
階段を少しだけ下っていきます。
渋温泉を代表する天下の名湯で、高僧行基により発見された霊泉です。巡浴祈願の最後に入浴し、それから薬師庵に登り薬師如来に心を込めてお参りしていただきます。万病に効くと云われておりますが、特に神経痛・リウマチ等に効く事で有名です。また源泉(地下にあります)の湯気を利用した蒸し風呂もお楽しみいただけます。屋上には同じ源泉の足湯もございます。
足湯に入ろうと思ったのですが、いつも誰かいて入ることは出来ませんでした。それだけ人気なんですね。
鉄分が含まれており褐色の濁り湯になっています。外湯の中では一番大きく8人くらいは入れる大きさです。
お湯がこんこんと注がれ良い感じの温泉です。
蒸し風呂もあり「不老長寿」と書かれていました。
ここも独自の源泉になっています。pHは5.7で酸性泉ですが、それ以上に鉄が多いので、金属アレルギーの人で敏感な人には向かないと思います。
番外湯 信玄竃風呂
渋温泉街の東端に「温泉寺」というお寺があり、その中に以前は番外湯として「信玄竃風呂」というものがありました。
入口にもノボリが立っていますし、外湯の案内板も出ています。
ただし、僕が知る限り2010年以降から老朽化のために無期限休業となっており、入れないようになっています。
ただしスタンプは押せるので是非立ち寄ってください。
渋温泉 外湯の注意点と所要時間
渋温泉の外湯に入ろうとした人で熱くて入れなかったという人もいるかもしれません。
源泉温度が高いので一番風呂だと逆に熱くて入れないことも。
また源泉掛け流しなのでその時によっても温度が異なります。小さい湯船で貸切状態なら水を入れてヌルくして入るのもありですが、他の人と一緒だと難しいかもしれません。
でも熱いかどうかは半分運次第なのでしょうがないかな。
でも熱くても入れる方法もあります。頭にタオルをのせて、その上から湯船から掬ったお湯を2~3回かけると不思議と入れてしまいます。
もちろん熱すぎて無理な時は無理はしないようにしてください。
九湯めぐりにかかる所要時間 90分から3時間が目安
今回はそこまで急いで無かったので3時間くらいで9つの外湯に全部入りました。
九湯めぐりにどれだけ時間がかかるか?と言えば、人による・・・としか言えないのですが、漠然とした時間で言えば90分くらいあれば周り切れます。
移動は1回2~3分、服を脱ぐ・着るの行為に2~3分、温泉に入るのに2~3分として、1セット10分くらいです。
10分を9回で90分、最後に渋温泉神社に行くとして10分として全部で100分くらいです。
ただし女性であれば外を歩くので服装も気になる人がいるでしょうから脱衣に2~3分では無理な場合もあるでしょう。
それにせっかくの温泉だから長くゆっくり入りたいという人であれば入浴時間が10分15分それ以上という場合もありますよね。
だから一概に時間がどれだけかかるかは人によって異なります。
浴衣とパンツ1枚で回るのなら脱衣は1分もかかりませんから時間の短縮も出来ます。それが女性ならブラをつけて・・・となると2~3分では終わりません。
ただ問題は九湯を連続で入るとかなり疲れることです。
なので、
- 旅館にチェックインしたらまずは2~4湯
- 旅館の食事の後に2~4湯
- 宿泊した翌日の朝に2~4湯(ただしお湯が抜かれている場合もあり)
と何回かに分けて入るのが良いでしょう。
楽しい温泉街
また渋温泉はそれほど広い温泉街という訳では無いので、是非歩いてみてください。
射的やスマートボール、
無料で出来る卓球場もあります。
大湯の前にも神社があり、参拝出来ます。
非常に雰囲気の良い温泉街です。ふらっと外に飲みに行くのも良いかもしれませんね。
渋温泉で人気No.1の温泉宿は「歴史の宿 金具屋」
渋温泉と言えば、人気の宿はやはり金具屋。
映画「千と千尋の神隠し」のモチーフの1つにもなったと言われています。国の登録有形文化財にもなっています。
夜にはライトアップされ非常に美しい建物を見ることが出来ます。
雪が積もった状態も非常に綺麗でした。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
今回泊まった金具屋さんで下記の地図をもらいました。
番号がそのまま外湯の番号です。
是非、渋温泉に泊まって外湯巡りを楽しんでくださいね。
以上、渋温泉 外湯九湯めぐりについてでした。
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